巨大坐像を建造中のパークナム寺

 

数年前まで、バンコクの都市交通網の開発は、東へ南東へと進んでいく傾向が強かった。しかし、このところ西にも少しずつ地下鉄・モノレール網が拡大オープンしつつあるようだ。

 

タイ王国中に有名なパークナム寺は、バンコクの西側、MRTブルー・ラインのバーン・パイ駅から徒歩圏内にあり、写真の絵的に映えることもあり、旅行者にも人気のお寺である。

 

これまで、このパークナム寺をつとに有名にしていたのが、宝物殿さながらの5階建ての大仏塔の最上階、エメラルドに輝く仏塔と隙間なく美しく描き込まれた天井画の広間であった。SNS映えする美しい絵面は、瞬く間にシェアされ、仏教徒でなくとも、一度は訪れたいと思わせるだけの力がある。

 

そこに、数年前から建造が始まった、タイ王国でも3番目の高さになるという屋外にある坐像が、このパークナム寺への参拝者への吸引力、旅客の集客力をさらに不動のものとしつつある。やや遠方のMRT路線や国道からも見えるほどに、「わかりやすくデカイ」のである。

 

 

伝承によれば、「ブッダは一尺六寸あった」と言われ、メートルに直すと「約4.8メートルぐらい」になるという。今日、人類が70億人という未曾有の人口規模になり、人類史上で最も栄養状態の良い現代であっても、3メートルにまで到達する人はいない。ブッダの生まれ過ごした2564年前に、今日のネパールやインドの辺りに、5メートル近い身長の巨漢がいたかどうか、確かめる術がないのである。

 

なにせ、ブッダが話したというサンスクリット語は、かつて漢字が伝来する前の日本語のように文字を持たない言語であり、すでにサンスクリットのネイティブの話者は淘汰されてしまった。また、ブッダは神格化されることを嫌い死後数百年の間、絵画はおろか仏像も作られていなかったという。

 

ということは、文字を持たないサンスクリット語で語られたブッダの教えを弟子の仏僧たちが数百年、口伝えに伝えていた訳である。それから数百年経って、仏典としてまとめられた頃には、当のブッダの姿形が全く分からないだけでなく、伝承の内容も正確性を確かめる術がないのである。

 

 

仏教に帰依した人々が、偉大な賢人・哲学者であったブッダを崇めるあまり、仏像を作って神格化し、いつの間にか「ブッダは5メートル近くもおありになった」という尾鰭が付いたという可能性は否めない。なにせ数百年も口伝えの伝言ゲームをしていたのである。誰かが途中で言い間違えたり、ある日思ったことを付け加えたか分からない。

 

小学校や幼稚園で列の前から後ろまで、短文を伝言して伝えるゲームをやったことがある。列の前から後ろまでの数人の伝言ゲーム。あれだけでも、かなり話が変わってくるのであり、それを数百年も気が遠くなる間やっていれば、結果は自明であろう。

 

仮にブッダが5メートル近い長身の人物であったとする。今日、地上で生活する哺乳類で最も背の高い動物はキリンであるが、キリンのオスは頭の先までの身長が4.7-5.3メートルになり、体重は800-1930キロ程になるそうだ。四足歩行のキリンほどでなく、二足歩行の人間の体躯だとしても、4.9メートルの高身長のブッダは、数百キロから1トンもの体重があったと類推される。

 

 

次のブログに続けます。

デカイ

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