バンコクの中心地、高級ショッピング・モールやタイ王国屈指の大学であるチュラロンコーン大学、タイ国民から人気の高い王女様の住まいなどがあるサイアム地区。その広さや各式とは裏腹に、いつも参観者の少ない寺がある。
このお寺、正式名称は「パトゥムワナラム・ラチャウォラウィハン寺」というらしいが、長過ぎるので「パトゥム寺」(ワット・パトゥム)と呼ぼう。タイ人の友人もその名前で覚えていた。
BTSサイアム駅の側、やや古くなりつつあるものの、いまだに最高級デパートの一つである大型高級ショッピング・モールであるサイアム・パラゴンやサイアム・センターはよく知られている。また、タイ王国最大級のショッピング・モールの一つ、セントラル・ワールドにも徒歩で行ける場所である。
そして、高級モールのサイアム・パラゴンと最大級ショッピング・モールのセントラル・ワールドとの間に、誰もが目の端では認識しつつも、あまり訪れる人のいないパトゥム寺はある。
タイ王国の格式の低い寺では、寺の造りや内装の宗教画が、予算の関係か相当に適当であったりすることもあるのだが、パトゥム寺の建築物や内装は手を抜いていないことが素人目にも感じられる。
前述したようにパトゥム寺は、この近隣の広範囲の土地を所有する王室に属する寺であるかもしれないが、2015年8月に無差別爆弾テロによる死傷事件のあった、セントラル・ワールド斜め前にある、エラワン廟の方が訪問者が絶えず、有り難がられているから不思議である。
特に華人の参拝客や旅行者には、エラワン廟は絶大な人気を誇るが、きっと「あそこはよく願い事が叶う」などという迷信が、華人社会では伝えられているのであろう。
どちらかといえば、私にはパトゥム寺の方がずっと有難い寺であるように感じられる。周辺のショッピング・モールとのギャップを感じつつ、タイ仏教の縁を探しに境内を散策するのも楽しい寺である。
サイアムの近隣にお立ち寄りの際に、足を止めてみることを勧めたい。
「ロケーション抜群で空いている割に、悪くない寺じゃないか」と思われるのではないだろうか。
人が少なくて落ち着く寺
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