タイ王国:歴史ある寺院にも商業化の波

前回2バーツ硬貨に描かれた寺院」からの続きです。

 

ワット・サケットにあるゴールデン・マウントは、タイ国王ラマ三世の命により建立が命ぜられ、続くラマ四世、ラマ五世の時代に竣功したと言われている。底から仏塔の頂上までの高さは100メートルあり、丘の部分だけでも80メートルの高さがある。ほとんど平地ばかりのバンコクにおいて異質の存在であるが、もともとここに丘があったわけではなく、大量の木材などを埋め込んで作られた人工の丘であるという。

 

そんな歴史のあるワット・サケットのゴールデン・マウントであるが、ここでも「タイ仏教の商業化の波」を垣間見ることができる。というよりも、かなり率先して商業化している部類の寺院に属する。

 

 

まず、数年前から「外国人参拝客からの入場料徴取」が始まったことは前回書いた。それ以外にも、ゴールデン・マウントを頂上へと向けて登る344段の階段の中腹には、なんと「ゴールデン・マウント」という名のカフェまでオープンしたのである。寺院とカフェ。なんとも奇妙な組み合わせであるが、ワット・サケットの破廉恥さはそれだけに留まらない。

 

最上階の寺の部分では、タイ仏教寺院おなじみの「曜日ごとの姿勢の異なるブッダへのお布施」「各種お祈りグッズ販売」「祈祷料」「坊さんのプロマイド」などの仏教徒への集金施策にとどまらず、仏教徒以外の外国人を取りこぼさないよう「グッズ販売」にもかなり力を入れている。ワット・サケットの「Tシャツ」「キー・ホルダー」「ポスト・カード」「寺と全く関係ないネット関連機器や携帯電話」と言った具合である。

 

その脇には、かなり選択肢豊富な「アイスクリーム・ボックス」まである。確かに、螺旋階段を登ってくるとかなり暑い日もあるので、冷たいアイスクリームで一息つけるのはかなり助かるのではあるが、ブッダの「悦楽を求めない」精神と相反するような気がするのは、自分だけではないだろう。(もちろんアイス買ったけど。)

さらに、親切なつもりでここの高僧が決めたのであろうが、なんとも世俗的だと感じるのは、「Free Wi-Fi」完備なのである。もうこれには唖然とさせられた。ワット・サケットまで来て「Free Wi-Fi」を使うというのは、どういう了見だろう。

 

 

タイ王国のいくつかの寺院では、無料で諸外国からの瞑想修行者を受け入れている「高い精神性(があるように思える)」のある仏教寺院も残っている。瞑想修行者には個室の宿泊施設を与えているような寺院もあり、「あくまで各人の裁量でのお布施」のみ受け取るということだ。そうした寺院では、携帯電話などの電子機器を預けるように促され、世俗的なコミュニケーションを断つことから修行が始まるところが多い。

 

しかし、ワット・サケットのそれは、真逆である。控えめに言ってもかなりアバンギャルドだ。「Free Wi-Fi」という、いかにも観光地化されたゴールデン・マウント。タイの寺院ではお布施で儲かっている高僧たちの「夜の街での乱痴気騒ぎ」や「素行不良な行い」がよくニュースになるが、ここの高僧にも「本来の仏教の教えとはズレまくった感覚の高僧」が少なくないのかもしれないと思わされるのであった。

 

 

次回、ワット・サケットの興味深い部分を少しお伝えします。

なんだかなァ

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