前回のブログ「旧バンコク中心部にある大型花市場:ヨドピマン」の続きです。
ヨドピマン花市場を歩く楽しみは、「昔ながらのバンコクの市場の雰囲気を堪能」し、「安く新鮮な花や果物を手に入れられる」ことだけではない。実は、ここには無数の猫が暮らしている。猫好きにはたまらない市場だ。
チャオプラヤー川側からみて、ヨドピマン花市場、市場の北側を走るチャクラペット通りを隔て、さらに花・果物市場が続くこの市場のエリアには、相当数の猫が暮らしている。お店の飼い猫として飼われている猫もいれば、野良猫として暮らしている猫たちもいる。猫好きにとっては、ヨドピマン花市場で売られているものを買わずとも、市場内外で寛ぐ猫に挨拶をして周るのも楽しい。
さて、保健所などが厳しい日本では見られない光景であるが、タイ王国には無数の野良犬がいる。タイ王国全土に数千店舗展開するCPグループ系列の7-11の店舗前には、7-11が備品として用意しているのではないかと思うぐらいに、野良犬が一匹や二匹いるものである。
一方で、野良猫はどうか。日本では比較的多い野良猫が、タイ王国では野良犬の存在感に霞んでしまうほどである。
ところが、このヨドピマン市場では、猫が主役である。野良犬は市場の外に数えるほどしかいないし、猫のように市場の中で寝転がっている犬はほとんど見られない。
というのも、野良犬は寝転ぶと市場の細い通路を塞いでしまうだけでなく、かなり不衛生で病気がちな犬も多いが、猫の場合はそう場所を取らず、犬と比べれば比較的清潔そうに見える。さらには、猫は「市場の仕事」も手伝うのである。そう、生鮮食品市場の天敵である「ネズミの駆除」だ。
タイ王国の首都バンコクでも、道路脇を走り周る大きなネズミを目にすることは珍しくないが、こうした猫のいる市場では、ほとんどネズミの姿を見かけることがない。猫が駆除してくれているのであろう。また、野良ネズミの方としても、猫がたくさん徘徊しているような市場の内外で暮らすのは、生きた心地がしないはずだ。現実の世界では、トムとジェリーのように仲良く喧嘩した、というわけにはいかないのだ。
また、人によっては「猫好き」がたたり、猫のためにヨドピマン花市場に足繁く通う人もいるであろうから、市場の猫たちは「招き猫」の役割も果たしている。
そうした理由もあって、ヨドピマン花市場では、多くの猫が割と高待遇で暮らしているようだ。商品の上などで優雅に寝転ぶ猫などがいても、タイの人々は割と寛容であり、邪険にされることも少ないのであろう。
近代的なTOPSマーケット、テスコ・ロータス、Big Cなどのスーパーでは、猫が売り場のその辺にゴロゴロいるような場面は期待できない。
また、こうした重労働な市場では、タイ人だけでなく、近隣のミャンマー、カンボジア、ラオスなどから出稼ぎできた人々も多く働いている。こうした昔ながらの風情のある市場で、東南アジアの人種の坩堝さを感じ、安く花や果物が手に入る上に、多くの猫も観察できるヨドピマン花市場は、バンコクを訪れる度に立ち寄ってしまう味のある場所なのだ。
次のブログに続けます。
猫好きにもオススメの花市場。
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