コロナの世界的なエピデミックで、すっかり「旅」どころではなくなっている。
当サイト「2go」は「2go(トゥー・ゴー)」という名が表す通り、世界の様々な場所の面白さ、日々の生活の輝きをテーマに更新している。これまで気軽にできた「旅」が、しばらくは「高嶺の花」となった。
しかし、その後また人々の「ずっと我慢していた旅に出たい」という想いが、揺れ戻しで強くなるものと思い、このサイトを続けていく。今後もお手隙の際、覗きにきていただけると僥倖である。
では、今回の記事、「コロナ狂想曲:マスク難民」です。

日本のみならず、「適正価格でマスクが手に入らない」という状況が世界的に続いているようだ。日本政府含め、各国政府は「マスク供給量を十分に確保します」と2020年1-2月ごろには言っていたのだが、それから1-2ヶ月以上経っても状況が改善されない。「マスク一枚まともに配ることができない政府」に、「感染力の強いコロナ・ウィルスを制御できる」とは考えられない、そう思うのが妥当であろう。

GDPのうち11%を観光業が占め、関連するビジネスを含めると20%を観光に頼っているタイ王国でも、「マスク不足」が顕著になっている。薬局やスーパー、コンビニに「正規のマスクが売っていない」のだ。
タイ王国でも道ゆく人々のマスク着用率は首都バンコクでは9割ぐらいに高まっているが、新たに真っ当なマスクを買うことが非常に困難になっている。
道端では、「効果があるのかわからない手作りのマスク」や「中国製・タイ製の粗悪なコピー・マスク」が売られているが、本来の目的の「汚染物質やウィルスを防ぐ」という目的を果たすに十分な機能を備えたマスクは少なく、逆に「形だけマスクで、その素材が体に悪い化学物質を含む」というようなとんでもないものが高値で流通している状況である。
先日、以下のようなバズっている写真の投稿をツイッターでみた。

このおばさん、タイのどこかの田舎町の人なのかもしれないが、マスクを買えなかったのか、「食器洗いのスポンジ」をマスクとして代用している。さすが「お笑いの国、タイ」(「微笑み」はとうに消えました)、とまずは笑ってしまうのであるが、よくよく考えると、「庶民の生活はかなり切実なところまで来ている」のだということが分かる。このおばさんとて、ウケを狙ってここまでやっているわけではなく、正規品のマスクが適正価格で買えず、あるいは全く売られておらず、やむに止まれずに「食器洗い用のスポンジ」をゴムで顔に留めていたわけである。
これを目にした彼女のネットのファンが、後日彼女に「正規のマスクをプレゼントした」という心温まる結末となった。
しかし、実のところ、「マスク難民」はこのタイ王国のおばさんだけでなく、世界中に少なからず存在する。マスクをしている人の中にも、本来は使い捨てのマスクなのだけれど、渋々続けて数日着用している人もいる。
今回のコロナ・ウィルスで、世界中の「国々の脆さ」、「既成概念の崩壊」、「経済環境悪化の連鎖」、「いざという時にやや頼りになる政府や役所」と「税金泥棒・強盗であるだけの、全く役立たずの政府と役所」の差異が明確になった。Covid-19ウィルスのワクチンが流通し、今回の「コロナ狂想曲」が終わった後、世界はかなり異なるものになっているのであろう。
まずは、みんなで生き延びましょう。きっと、この先の世界は明るい。そう信じて。
スポンジおばちゃん、ひとまずよかったね。
一つ前の記事へ:「ジャカルタの記憶に残るレストラン、ヒストリア」
そのほかの「タイ王国の記事」へ
そのほかの「ASEANの記事」へ