タイ王国北部の町パイにて、美しい日の出を望む

 

 タイ王国の北西地域、ミャンマーと国境を接する辺りに、マエホンソン県はある。ここは多くが森林に覆われた緑豊かな土地であり、タイ王国の中でも、自然が多く残された場所として有名だ。訪れる人の多いチェンマイ県、チェンライ県の西側に位置する。

 

10年ばかり前まではタイの中でも最も穏やかな顔をもつ地として知られていたが、昨今では中国大陸からの旅行者が大挙しており、様相を変えつつある。

 

 それでも、タイ王国で美しい山々、森林の景色を楽しみたければ、マエホンソン県は選択肢の一つに入れておいたほうが良い。旅先としても生活地としても、すっかり擦れきったチェンマイから北西に130キロばかり山道を掻き分けるようにして移動すると、マエホンソンでも有名なパイの町に到着する。

 

 ここからさらに120キロばかり山道を進んでいくとマエホンソン市に辿り着くが、多くの人の評価では、このパイの町がより美しいと人気である。

  マエホンソン県を訪れる旅人の多くが、まずはパイの町で腰を下ろす。ここに何か特別なものがあるという訳ではないのだが、それなりに美しい山々がある。

 

他にも一食30B程度の割と安価な食堂があり、T字のナイト・マーケットが毎夜開催され、地元人料金50B・外国人料金300Bのタイ人気質丸出しでうんざりする温泉があり、見た目は美しいがやたら冷たい60Bのスイミング・プールがあり、象にしてみれば迷惑であろう象の背に乗ったトレッキングもあり、また心の充足を求める人のための瞑想センターがある。気の抜けた炭酸飲料のような模倣チャイナ・タウンもつくられている。中国大陸から来た人々へのサービスのつもりなのかもしれないが、中国から来た人は、古くからあるバンコクのチャイナタウンならまだしも、新しく山の中に造られた模倣チャイナタウンにはそう興味がないだろう。

 

 そんなパイの町で記憶に残ったのは、朝陽の美しい光景を楽しめる「雲来」という名の山の高台だ。

 

 同じ宿に投宿していた中国北京出身の姉妹、一人旅の澳門大学の女の子、同じく一人旅の四川省の病院に勤めるナース、さらに一人旅の韓国人女性たちに誘われて、早朝に宿からバイクを駆り、山頂の「雲来」まで寒さに身を縮こませながら向かった。

 

後部座席に乗せたタイ政府との仕事を6年ばかりしているという推定40代の韓国人女性は、バイクに慣れていないらしく、ガッツリしがみついてくる。若い恋人やハネムーンの新婚夫婦でもここまで露骨にしがみつかないよ、というほどに。

 バイクを20分ばかり走らせ、辿り着いた山頂の「雲来」は、パイに来ている観光客の三分の一が押し寄せているかのような混雑ぶり。それでも、広い高台の山頂にはまだまだゆとりがあった。

 

 

 日が昇り始めると、旅人たちは思い思いに写真や動画を撮り始める。日はパイの町のある麓を背に、向かいの背の高い山の後ろからじわじわと登ってくるので、明るくなり始めてからご来光までにしばらく時間が掛かる。

 

 前日からテントを張って「雲来」に寝泊まりしている強者たちも2030棟は見られた。次回はテントを持って、満天の星空を楽しみながら、ここに泊まりたいと密かに思うが、寒さが堪えそうだ。山のテント泊をする人は、防寒対策を万全にしておいたほうが良い。特にタイ王国では、日夜の気温差が激しく、舐めてかかると風邪をひく。

 

 冷え切った身体に、山頂で売られているお粥や饅頭類、暖かいお茶が染み渡る。日中であれば口にしてもそう感動することもない料理や飲み物でも、朝の冷気に凍えた身体には、暖かい飲食は格別に感じられるのだ。

 特別な経験をシェアすることで、短時間でも絆が深くなることがある。今回の「日中韓合同日ノ出観覧チーム」の6人は、その後も中国のSNSであるウィチャットで連絡を取り合う仲になった。またどこかで、友人たちと人生の旅路が重なることを願う。

 

 

 

 

時々、朝陽を拝むと気分が良い。

 

そのほかの「タイ王国の記事」

そのほかの「ASEANの記事」