バンコクからタイ湾に向けて南に30キロばかり行ったところに、「Bang Pu Recreation Center(以下バンプー)」はある。渡鳥であるカモメが多くやってくることで有名な、タイ湾に迫り出した桟橋とレストランのある施設だ。
バンコク最南部のBang Na(バンナー)エリアから、タイ王国で最も長い通りという「スクンビット通り」を南下していく。三つの顔を持つ象の外観のエラワン・ミュージアムを横目に、タイ王国の昔ながらの家屋を再現したテーマ・パークのAncient Cityを通り過ぎ、潮風が香ってくるタイ湾に面したサムット・プラカーン県にお目当ての「バンプー」はある。

ここにやって来るには、車かバイクなどの足がないと不便だ。バンコクのメトロ網のBTSスクンビット線が延びたとはいえ、最南端のKheha駅はここからまだ8キロ以上も距離があり、そこからタクシーなどをつかまえていくのは、やや面倒であるからだ。
さて、バンプーは首都バンコクからするとお隣の県であるが、バンコクの中心部からも往復2時間もあれば行くことができるので、ここを訪れる人々の多くはバンコキアンであるようである。もちろん、「渋滞がひどくない時に」というのは必須条件である。「渋滞時の所要時間は、神のみぞ知る」。それがバンコク近郊の時間軸である。

さて、バンコク中心部からも30-40キロという地の利のあるバンプーには、海に面している部分が限りなく少なく、シーフードも高く、カモメなどの野鳥がほとんど見られないバンコクから、日帰りで束の間のエクスカーションを楽しみに来る人々が少なくない。
「エクスカーション」とは言っても、「積極的に係の説明を聞いたり、体験型の見学会をしている」といういわゆるエクスカーションではない。「Recreation Center」という名で呼ばれているものの、実情はそこまで進化していないのも、タイ王国らしい緩さである。

ここを訪れる人々の目的は、大きく二つある。
1) 桟橋のカモメの写真を撮る。カモメの写ったセルフィーを撮る。場合によっては餌付けもしてみる。
2) 桟橋の先にあるレクリエーション・センターでシーフード・メインの食事をとる。
バンプーでの食事は、バンコクよりは安く、そこそこの鮮度ではある。海沿いの地方の町々よりはずっと高いが、それでも「カモメがいっぱいいる」という心躍る体験があるので、人気のある場所である。
次回に緩く続けます。
カモメのジョナサン、ストイック。
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