ミャンマー情勢が酷いことになっている。
2021年2月1日のミャンマー軍の出鱈目な理由のクーデターに対し、平和的に抗議していたミャンマーの人々。そんな市民が分かっているだけでも70人以上も虐殺されている。
また、拘束されてそのまま拷問中に殺され、遺棄された人々もいることを考えると、すでに三桁の犠牲者が出ているであろう。国連軍が早く出動しないと、ロヒンギャ族の迫害・虐殺のようなことが、ミャンマー全土に拡大しつつある。本当に解決すべき大変なことが起こっていても、「見ているだけ」という野良猫のような国連のお家芸が、残念ながらここでも披露されつつある。ミャンマーの友人・知人たちが無事であることを願ってやまない。
鼻を伸ばした象の顔のような地形のタイ王国。その鼻の部分にあたり、プラチュアップ・キーリー・カーン県のあたりが、タイ王国の国土で「最も細い部分」となる。タイ湾から陸路で西へとほんの14キロほどいくと、そこにはもうお隣のミャンマーへの国境であることは前回のブログ「森の中のお寺」でも書いた。

ここシン・コン国境は、地元のタイ人とミャンマー人しか越境することができず、他の国籍の人々は国境のどちらかから佇むだけとなる。それでも、国境の真近まで行くと、ミャンマーの人々のローカル・マーケットなどもあり、異国情緒を感じるために訪れる物好きな人もいる。私は二度訪れた。
このボーダーはタイ人とミャンマー人にしか開かれておらず、タイ側もミャンマー側も主要都市ではない。自ずと交通量も少なくなる。国境側にミャンマー人が集まる市場などがある他は、そう見どころがあるわけではない。外国人がせっかく国境まで足を運んでも、タイ王国最北地点のチェンライ・タチレク国境、ターク県のメーソット・ミャワディー国境、ラノーン県とミャンマー最南部のラノーン・コータウンの海上国境のように、向こう側のミャンマーに行けるわけではない。
そう知ってはいたものの、初回は一人でプラチュアップ・キーリー・カーンの街からこの関所を尋ね、割と気さくなタイ側の国境職員に「ちょっと先まで行ってもいい?」と尋ねてみたのだが、「あれ、日本人?だめだよ、ここはタイ人とミャンマー人だけなの。」とフレンドリーに断られてしまった。「行っても、何もないよ。道はすごく悪いしね。ぜんぜん面白くないし。」と中年女性の国境職員。

ミャンマーの山中の悪路は、カンボジアやラオス以上に想像を絶する悪路であることは、ミャワディー(タイ側はメー・ソット)とミャンマー第三の都市モーラミャイン間の悪路で経験している。乾季はまだ良いが、雨季がさらに大変な道である。
ただミャワディーの町から乗合タクシーに乗って座っていただけで、3時間ほどの車での移動の間に、iPhoneの歩数計が5000歩ほどカウントされた。乗降回数は20階以上。実際には途中の休憩を合わせても、数百歩しか歩いておらず、階段など乗降していない。「ただ車に座っていた間に、陥没した悪路に揺さぶられ続けた」のである。そんな道を都合三度も行き来した。物好きでる。
それでも、自分の目で見て五感で感じるまでは、「来なきゃよかった」とは言えない。おそらく、国境を超えられたとしても、特に何もなく、本当に「来なくてもよかったかも」という悪路なのだろうけれど。

そして、2020年3月頃から、コロナ禍でミャンマーの全ての陸路が閉ざされることとなった。それでも、物流や帰国などの目的での物資と人々の往来はまだあったようであるが、2021年2月1日のクーデターにより、全ての国境が文字通り閉ざされ、地元のタイ人・ミャンマー人であろうと国境を越えることはできず、ミャンマーから空路で抜け出す外国人のフライト以外、ほぼ全面的な鎖国状態となっている。
次のブログに続けます。
ミャンマー情勢、早期介入しないと犠牲者が増える。
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