タイ仏教寺院:ビジネス施策あれこれ

 

以前、タイ王国北部のラオスと隣接する県であるナーンを訪ねた折り、町で最も有名な寺院を訪ねた。タイ王国において、旅人のアクティビティといえば「寺院訪問」「ショッピング・モール散策」「夜市めぐり」「バーめぐり」ぐらいなのは仕方がない。これに「ビーチで寛ぐ」「軽い山歩き」「タイ式マッサージ」を加えると、ほとんど全部である。いや本当に。

 

その寺院は、山の傾斜というロケーションにある見晴らしの良い寺院であった。そして、田舎町とは思えないほどに、とてもビジネス志向の強い寺院でもあった。そこで行われていた「ビジネス施策」のいくつかを紹介しよう。

まず、寺院に入って目を引いたのが、金粉を貼り付けた大きな金の玉(略して「大金玉」)である。無論、ここを訪れる信者が功徳を積むために、金粉の紙を買って、この大金玉に貼り付けるという「ビジネス施策」であるのは言うまでもない。ブッダが「大きな玉に金箔をはるといいよ」などと言ったかどうか、まず言うわけないだろう。紛れもなくこの寺院の「大金玉ビジネス施策」である。

 

次に、立ち並ぶ仏像の前にある小鉢に「両替したコインをちゃりんちゃりんと入れていく」というビジネス施策。この手の「ちょっとずつお布施をし、顧客に満足感を与える」という「お布施(いいことしてる感)体感型のビジネス施策」は、バンコクの最も古い仏教寺院であるワット・ポーなど、割と多くの寺院で見られる古典的な施策だ。信者でなくても割と楽しめるエンターテイメントである。

 

さらに、怪しい新興宗教でありそうなビジネス施策も、この仏教寺院では積極的に取り入れられていた。仏僧の読経などの「ありがたいパワーを信者に送電する変な紐」を頭に取り付け、サービス料としてまたお布施を貰うというものだ。これは見た目の怪しさも満点であり、カジュアルにお寺を訪れる外国人の旅人などはまずやらない。どっぷりと「僧侶の言うことはなんでも聴いてしまう盲目の信者」になった「残念なロイヤル・カスタマー向けのビジネス施策」である。

この仏教寺院には、他にも「割り箸みたいなのにお金をくくりつけてお布施する」「ブッダの足形と言われる造形物にお金を落とす」「ブッダ系のお守りなどのグッズ販売」など細かなビジネス施策が見られた。

 

かつて、日本の関西にある神社を訪れた際、境内の一角に神社の神主達が集まって「境内のどこにお布施ボックスを置くのが効果的か」「参拝者の経路を考えると、おみくじはどこに置くのがいいか」などビジネス・ミーティングをしているのに遭遇したことがある。タイ王国や日本だけでなく、どこの世界でも、こうした「宗教ビジネス」は似た様なものなのであろう。

 

彼らにも「大金玉や変な紐はどうですか?」と勧めてみたい気もするが、「それはあまりに露骨なのでね」と日本的な奥ゆかしさがあるかもしれない。

色々あるね

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