裸の王様

有名なデンマークの作家アンデルセンの『裸の王様』、1800年代に書かれたこの作品、実はオリジナルはスペインで1300年代に書かれた『ある王さまといかさま機織師たちにおこったこと』という話だそうだ。つまり、「裸の王様」は、少なくとも700年前からすでにある、人類固有の問題のようである。きっとその前から、イタリアや中国など、古い国家ではある現象なのだろう。日本を含め。

 

さて、どうやら、世界中で「裸の王様」が増える現象が起きているようだ。彼らの特質として、「先代が有権者であり、苦労知らずで、地位や権力を引継ぎ、批判されることを嫌い、まともな人材は左遷し、イエスマンで周囲を固める」という点が共通している。また、「国民の大多数から嫌われ蔑まれていることを知っている」ので、彼らも本音では「こんなに素晴らしい自分を理解できない愚かな国民のことが嫌い」なのである。アメリカ、北朝鮮、中国、そして日本の政治家もそれにあたる。つまりサイコパスだ。

 

そんな中、タイ王国の「王様」がまたまたやってくれた。

 

67才だか68才にして、本年5月ごろに4度目の結婚を元タイ航空のスチュワーデスであったお妃とし、その二ヶ月後に第二夫人を「タイ王国で100年使われていなかった」という大仰な地位・タイトルの宣言と共に娶られたまでは、まだハッピーな話題であった。再婚(4度目の結婚)したばかりですぐに第二夫人を娶るというアナウンスに、あっけに取られた人が多かったが、まぁどちらかといえば吉報としよう。

 

しかし、数日前にこの第二夫人として迎え入れたばかりの34歳の(2番目の)お妃から「不実と強欲」を理由に、この夏に与えたばかりのあらゆる地位・名誉などを剥奪したのには驚かされた。「殿、ご乱心」である。

 

さらに、その翌日には6人の王室高官を「極端に邪悪な行為」で解雇した。「不敬罪」のあるタイ王国では、王や王室を批判すること、そもそも議論の俎上にあげることすら許されていない。王や王室に糾弾されたら、市民に反駁の権利はない。タイ王国は、王室の存在にFacebookで疑問を呈した大学生が非公開裁判で禁固30年の刑に処せられているかなり怖い「お笑いの国」である。決して「微笑みの国」などではない。

 

タイの友人たち曰く、今回の「迎え入れたばかりの第二夫人から全タイトル剥奪」「王室高官を解雇」のニュースに、タイ王国のFacebookTwitterは流石にその話題で持ちきりだそうだ。

 

タイ王国の現国王は、若い頃から気に入った女性とすぐに「裸になる」ことで知られている。彼は二義的に「裸の王様」である。おそらく、ここでも「不敬罪」をチラつかせて、やりたい放題のことをしてきたのであろう。そして、最初は熱心に手籠にしても、気が変わると「不敬罪」で3番目のお妃とその家族を投獄するなど、かなり「それをやったら国民が引くでしょ、マジっすか?」という家臣もビックリ仰天なことをされることでも知られている。ちなみに、タイ王国の次期王位継承者と目される王子は、その「家族と共に投獄されている3番目のお妃」との間の嫡男である。なんとも。

 

だが、多くのタイ王国の市民が不敬罪を恐れずに「王様は裸だ」と発言するようになったら、刑務所に入れきれずに「不敬罪」が回らなくなるので、「裸の王様」はいずれその地位を追われることになるのかもしれない。「裸の王様」が自爆するのをこれ幸いと考えている軍高官や軍出身の政治家、宗教団体の高僧は多そうである。王室が瓦解すれば、王室が独占的に享受してきた莫大な富と権力が棚ボタとなるからである。この辺りもかなりドロドロしているのがタイ王国である。爽やかな「微笑みの国」ではない。

さて、世界的に「裸の王様」が増え、恐怖政治により「王様は裸だ」と市民が声をあげることができない国・地域も多くなってきた。健全な市民の権利を守り続けるには、時の権力者がおかしなことをやった場合には、忖度せず香港の若者たちのように「王様は裸だ」と多くの市民が声を上げ続ける必要がある。あっけに取られて口をアングリ開けているだけだと、サイコパスたちは厚顔無恥に他者を支配し、搾取し続けてくるので、面倒であっても発言し続けることが肝心なのだ。

どうやら、王様たちは裸だ。

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