
ロシアのメトロが地中深くを走っていることは有名だ。首都モスクワのそれも相当に深いし、ロシア第二の都市サンクトペテルブルクのそれは更に深い。なにしろ地上から地下のプラット・ホーム階に降りるまでに、2分間も続く長い上に速いエスカレーターに乗らないといけないのだ。
そして、旧ソ連邦時代の1960年11月に開通した、今日のウクライナの首都キエフのメトロ駅アルセナルナが「世界最深の地下鉄駅」である。やはりここもかつてのロシアだ。
駅名にもなっている「アルセナル工場へと労働者を運ぶための駅」として造られたこの駅は、なんと地下105メートルにも達する。地下1階を作るのに5メートルの深度が必要だとして、地下21階相当もの深さということになる。

当然のことながら、この駅のエスカレーターは地中深くまで乗客を運んでいる。サンクトペテルブルクの長く速いメトロのエスカレーターが、途中乗り換えで2機も接続しているような格好だ。その2機で合計4分間もの「地中エスカレーターの旅」を経て、乗客はやっとのことでアルセナルナ駅のプラット・ホーム階へと到着する。この駅で下車する人は、同じく合計4分間の上りの旅となる。ここを日々使っている人は、毎日8分間をエスカレーターの上で過ごしているのだ。

日本の鉄道駅のエスカレーターは、日本の平均人口が高齢化しているためか、とてもゆっくりと上り下りする。世界各国のエスカレーターは、もっと運行速度の速いものが多いが、旧ソ連のメトロに設置されたエスカレーターは、冗談のように長く、そして速い。




さて、下の図はネットで拾ってきたものであるが、世界で最も深い地下鉄駅のTOP(いやDeep)5である。

このうち、私は1位、2位、4位の駅に訪れているので、「プチ鉄道オタク」と呼ばれても仕方がないが、実のところ「鉄道」にはそう詳しくない。
本当の「鉄道オタク」と呼ばれる資質のある人々は、「鉄道及び車両の種類と歴史」を知悉しているであろう。自分の場合は「駅の深さやその装飾の華美」、「単独のエレベーターの長さと速さ」、「鉄道運行距離の途方もない長さ」などに感銘を受ける程度なので、どちらかというと「プチ鉄道建築オタク」か「プチ長距離移動オタク」ということになるのだろう。
旅の移動手段は飛行機、船、車やバス、オートバイや自転車などなんでも好きだ。「中でもとりわけ鉄道が好き」というわけでもないので、「世界の興味深い場所を見にいくのが好きな旅人」なのだと認識している。

停電になったら、ちょっと怖い。
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