ベトナムはドン・ホイの緑の多いカフェ

 

 もう4年も前の話になるが、ベトナム中部にある、ドン・ホイ(Dong Hoi)という名の海に面した町を訪れたことがある。

 

 「海に面した町」と書くと、旅情溢れる地なのではないかと思われるかもしれないが、ベトナムは南北細長く、海に面している海岸線が長いので、ベトナムにおいて「海がある」ということは、そう珍しいことでもない。

 ドン・ホイはクアンビン省の省都ではあるが、人口は約16万人と少なく、ベトナムではそう珍しくもない海がある以外には、失礼ながら他に何もないような町なので、異邦人の姿を見かけるとすれば、近隣にある巨大な洞窟を訪れる旅人が足を止める程度だ。ドン・ホイだけが目的という旅人は少ない。

   洞窟探検への投宿に使う町としては、最寄りの世界最大の洞窟からも30キロほど離れているので、そう便利なロケーションではない。しかし、洞窟近隣に探検のベースとなるような町が乏しく、ドン・ホイの町には海があるのでつられて寄ってみる旅人がいるようだ。

 

 しかし、こう言ってしまうと大変に失礼だが、町中にはとりたてて観るものは何もない。となると、多くの旅人がすることといえば、コンピュータ作業の為に宿の自室に引きこもるか、WiFiがあり居心地の良さそうなカフェを探すことである。幸い、ニャト・ラ川が海に注ぐ河口近くに、小振りだが居心地の良いカフェを見つけることができた。

 

 Tree Hugger Café

 30 Nguyen Du, Dong Hoi, Vietnam

https://www.treehuggervietnam.com/

 

 

  私がここを訪れた当時、Tree Hugger Caféを運営するのは、現地ベトナム人とドイツ人女性の共同パートナーたちであった。ドイツ人女性はこの一見すると何もないようなドン・ホイの町に、当時の段階で3年も住み着いているというから、見る人によっては何か光るものがある町なのだろう。それがベトナム人の恋人であれなんであれ。

 

 あれから4年も経っている。彼女がまだここにいるとしたら、すでに7年である。

 さて、カフェの店名が表すとおり、お店の内外には緑が多くある。各テーブルの上にはそれぞれ形状の異なる花瓶や、花瓶ではないものに一輪挿しされた花が目にも楽しい。しかも、1日のうちに何度かそれらを変えているようなのだ。トイレの中の細部に至るまで、緑と一緒に生活しようという心遣いが感じられる素朴だが温もりのあるカフェだ。

 このカフェ、日中は割と空いているので、すんなりと席を見つけられるのだが、ドン・ホイという小さな町にありながら、夜はカップルや旅人で満席に近いことも多く、タイミングを見計らって訪れることが必要だ。

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 Tree Hugger Café、四年前とホームページのアドレスは変わっていたが、グーグル・マップで難なく探すことができた。住所もどうやら以前と同じようだ。またいつの日にか、ドン・ホイの街を訪れることができた暁には、この気持ちの良いカフェに立ち寄ってみたい。

 

 その時に、出迎えてくれるのは、あの欧米人とベトナム人のカップルのオーナーたちなのであろうか。はたまた、時代は変わって全く別のオーナーになっているのであろうか。4年という月日は、日本においてはそう遠い昔の話ではないが、成長期の子供のようなベトナムにあっては、 その歳月は、良くも悪くも決して短い時間ではないのだ。

 

 

 

ベトナム人はカフェが好き