ベトナムのフエにて、アオザイ撮影。

 

 前回、世界文化遺産である「ベトナムはフエの王宮」で、三人のハノイ女子と知り合ったことを書きました。今回はその続きです。

 

 

 王宮の散策が済んだところで、タクシーを走らせ、ベトナム人に有名なお店まで向かう。ハノイ女子の三人に、フエの街で有名な生春巻き等の料理をご馳走になった。

 

 

 通常、東南アジアの女性は、日本や諸外国から来た男性に「ご馳走になることを当然」と考える節があるが、この3人は逆に一人旅の日本人である自分にご馳走してくれただけでなく、タクシー代なども払ってくれた。食後、王宮の南に流れるフォン川に沿ってタクシーを走らせ、文学の神々が祀られたパゴダを参観する。

 

 さらに、道端で蒸したトウモロコシ、旅のお土産にベトナムの「あの三角帽子」までくれるという、ホスピタリティ溢れるビジネス・ウーマンであった。

 

 その後、フエ特産のお菓子屋に寄り道し、いくつかハノイへのお土産を買ってから、彼女たちが前日オーダーしておいたという「アオザイ」(ベトナム語表記だと、「Ao Dai」と書く。DはZに近い音で発音するので「アオザイ」)をお店に取りに行った。アオザイの専門店には、色とりどりの素材のアオザイが並ぶ。サイズを測ってオーダー・メードにしても翌日には仕上がっている。

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 いうまでもなく、アオザイはベトナム女性の民族衣装として有名な着物であるが、アオザイを日常生活で着て過ごす女性は少ない。これは、日本女性が和服や着物をほとんど日常生活において着なくなったのと同じである。

 

 ベトナムでも、週に一度、女子学生がアオザイを着て通学する日があったり、鉄道会社や航空会社、レストランやホテルなど、アオザイを「通常業務の制服」とする仕事がある程度である。旅人の心をくすぐるアオザイを「普段着」として着る女性には、ベトナム当地でも滅多におめにかかれなくなっている。 

 

 

 三人のうちの一人、ベトナム語で「花」を意味する名前の花ちゃんは、アメリカのアイビー・リーグの大学院を卒業後、国際的な金融機関のハノイ・オフィスに勤務する才女であるが、彼女がアオザイをしてこう表していた。

 

 「アオザイはね、全てを隠していながら、何も隠していないのよ」

 

 言い得て妙である。通常アオザイは下に履くズボン状のものと、上着は 腰から足元にかけて大きなスリットの入った七部丈の袖のついたワンピースがセットになっていることが多いが、上下を合わせて着用すると、肌の露出はほとんどなくなる。

 

 しかし、ジャスト・サイズのアオザイをオーダー・メードでしつらえて着ると、肌は隠しながらも、「その女性の体型が全て現れてしまう」という面も併せ持つ。

 

 「全てを隠していながら、何も隠していない」

 

 なるほど、そういうことなのだ。

 

 新調したアオザイを抱えて、彼女たちが泊まっていたフエの最高級ホテルに戻り、急いで着替えを済ませた彼女たちは、王宮の前にかかる鉄橋の前に戻った。半時ばかり写真の撮影を楽しみ、急いでタクシーを捕まえ、空港へと向かい、その夜のフライトで彼女たちはハノイに戻って行った。

 

 ベトナムのフエという街は、アオザイを着たベトナム女性のよく似合う街である。またノスタルジーに駆られ、フエを再訪することもあるだろう。

 

 サイゴン(ホーチミン)やハノイ、ダナンと比べると、フエの街の発展のスピードはまだ緩やかである。再訪するその日まで、中国に倣った「ベトナム流のめちゃくちゃな街の改造」をするのをやめて欲しい、と願うばかりだ。

 

 

 

アオザイはお好き?