ベトナムのサパにて、棚田の村落を眺めながら

 

 ベトナムのサパの中心部から、徒歩で30分ばかり坂を下ったところに、「cat cat」という名の村がある。ベトナム語での綴りが「cat cat」なので、沢山の猫がいる村なのかと勘違いして小躍りしたが、「キャット・キャット」ではなく、「カット・カット」と読むのが正しいのだそうだ。紛らわしい。

 

 

 サパの中心部からカット・カット村へと、蛇行する坂道を歩いて下って行くと、村への入り口で入村料を支払う少し手前に、小高い丘があるのが目につく。村の全貌が見渡せ、かつ裏手の棚田の風景も見られる好立地の場所に立つ建物は、どうやらかつて日本のお金も少し入ったプロジェクトであったようだ。今ではそうした経緯も忘れられ、ただ単に丘の上に立つ「見晴らしの良いカフェ」となっている。

 

 

 小高い丘の上に建つ建物の最上階まで登ってみると、山裾の村を吹き抜けていく風が、この建物の内外を水流のごとく吹き抜けていくのが感じらえる。棚田の懐かしさを感じさせる美しい景色に、カメラのシャッターを切る手が止まらない。

 

 

 現地の人でここを利用する人はほとんどおらず、明らかに観光客目的の施設なのであるが、絶景を楽しめる好立地の施設なのにもかかわらず、客足はそう振るわないようだ。

 

 

サパの物価はベトナムの一般的な場所の二倍ぐらいの「観光地価格」であるので、ベトナム国内から旅行に来た人々の財布の紐は固くなりがちであり、また国外からきた旅人もそうした状況は心得ている。気軽にその辺で無駄に高い飲み食いをするよりも、ちゃんと腰を落ち着けて食事のできる機会にだけ出費を制限している堅実な旅人も少なくない。全体的に、サパのレストランやカフェはそう賑わっていない印象を受ける。

 

 

サパには似つかわしくない巨大ホテルと、「東南アジア最高峰の頂き」と言われるシーパンドン(山)へのケーブル・カーでのアクセスが開通・運行し、カット・カット村からの景色にもそのケーブル・カーが目に入るようになった。

 

ベトナム人というのは「やたらと長いケーブル・カー」を造るのが好きなようで、中南部のニャチャンにある世界最長のケーブル・カーに始まり、ここサパの6キロにも及ぶというケーブル・カー、中部ダナンの高原リゾートへと向かうケーブル・カーなど、長いケーブル・カーがいくつもある。

ハノイやサイゴンにもようやく地下鉄が開通する予定であるが、いっそのこと地下鉄ではなく全部ケーブル・カーにしてしまえば、それはそれで異次元な魅力を持つ街・国になるであろう。

 

ケーブル・カー、落ちないといいけど。

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