ベトナム鉄道の旅:軟座車両での車内販売の食事

 

 ベトナムの鉄道網はとてもシンプルである。北東の広西省に面するDong Dangの駅から、南のサイゴン(ホーチミン)へと南北を横断する路線が主線であり、それ以外は、首都ハノイから北は中国雲南省と国境を接するLao Caiへと向かう支線がある程度だ。Y字のような鉄道網である。

 

 今日、中国の広西省との国際列車は通じているが、雲南省との国際列車の乗り入れは中断したままになっている。

 

 

 単純な路線図とは裏腹に、ベトナム鉄道はしばしば遅延する。他の目的地へと乗り換える接続などほぼないのに、何が原因で遅延するのか分からないと鉄道先進国から来た人々は考えがちだが、「想定外のことが想定通り起こるベトナム」では仕方のないことだ。

 

 実は、ベトナム鉄道は鉄道先進国の人々には想像できないほどの、「とてつもない綱渡り」を連日繰り返しているのである。南北に長いベトナムであるが、ベトナム鉄道のそのほとんどの路線が、なんと「単線」なのである。

 

上りと下りは「複線」となっている駅などでうまくすり抜けさせないとならず、どこか一箇所でもこの「すり抜け」が上手くいかなかった場合、ハノイから北を結ぶ路線以外の全路線に影響するのだ。鉄道車両自体の不具合も、たった一両が途中で何かしらの不具合があると、全路線に影響する。まさに一蓮托生である。

 

 ベトナムで鉄道テロをしようと思ったら簡単だ。どこか適当な田舎町に行って、ちょっと鉄道を破壊すれば良い。その日は終日、ベトナム鉄道はストップするだろう。まぁ、そんなことはしなくて良いのだけれど。

 

 鉄道のチケットの区分は、硬座、軟座、エアコンありなし、普通寝台車、高等寝台車に大まかに別れる。シンプルな硬座が一番安く、高等寝台車になると高くなる。また、寝台車も上下段によって値段が変わる。動きやすい下段の方が高いのは、どこの国でも同じようだ。

 

線路に簡単に降りられるのもベトナム鉄道の敷居の低さ
線路に簡単に降りられるのもベトナム鉄道の敷居の低さ

 

 ベトナムの鉄道に揺られていると、20年前の中国大陸の鉄道を思い出す。まだその頃の中国では、無骨な外観で時速100キロばかり出すのが精一杯の車両が最も速い快速列車であった。

 

 日本とドイツの技術を取り入れて、ほんの少し外見上のトッピングを施しただけで「中国製」と謳われている、今日の高速鉄道網はまだ存在していなかったころの話。今の若い世代の中国人は、高速鉄道がある中国鉄道が常識となっている。

 

 私の場合、数時間のベトナム鉄道の旅では、寝台車を利用するまでもないので、軟座の多少リクライニングする座席に腰掛け、コンピュータ作業などをして移動する。日中の移動であれば、車窓からの景色もそう美しくはないが楽しめる。フエとダナン間の海の景色や、ハノイ駅を出発する際の民家の間を抜けていく景観は楽しいが、その他の地域では、取り立てて面白い風景は記憶にない。

 

黒くてなんだかよく分からないものもあるが、ベトナム人にはお馴染みのもの。
黒くてなんだかよく分からないものもあるが、ベトナム人にはお馴染みのもの。

 

 車内販売の飲食物なども昔の中国のそれを彷彿とさせるもので、揚げ物にご飯がつくというもの。車内販売の食事は、ぱっと見そこそこ美味しそうであるが、口にしてみるとすっかり具が冷めているので、すぐに気分は落胆へと変わる。

 

頼んでもいないのにご飯にタレをかけてくる。
頼んでもいないのにご飯にタレをかけてくる。

 

 ベトナム人の車内マナーは、中国大陸人と同様にうるさい人も多く、またゴミをその辺に捨てるのも同様である。この辺の素養の低さは、まだまだ改善するのに時間がかかりそうな大仕事であるが、「この粗雑さが面白い」という人にとってはたまらない旅路であろう。

 

寝ていてくれれば静か
寝ていてくれれば静か

 

ベトナム庶民食の基本は「安い・早い・身体に悪そう」

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